台湾のキャンプ場1,807か所のうち適法は203か所:観光署の名簿を検索できる形にした話と、途中で自分の一文を書き直した経緯
4つ目のツールはキャンプ場の適法性チェックです。データはいちばん簡単(CSV 1本、1,807行)でしたが、ぶつかった問題はいちばんプログラムらしくないものでした。何を書いてよく、何を書いてはいけないか、そして役所は実際に何を公開しているのか。
2026-08-21 作者 William Hsu
出発点:公式の検索は「はい」しか言えない
交通部観光署が政府オープンデータ基盤に「全国キャンプ場データ」を置いています(データセット132066、四半期更新)。 取得した版(元ファイルは2026-04-28)には営業中のキャンプ場が1,807か所あり、 「関係法令に適合/関係法令に違反」の欄と、違反した法令名を書く欄があります。
- 営業中 1,807か所
- 適合 203か所、11.2%
- 違反 1,604か所、88.8%
- 3年前 2023年5月の公式数字は1,843か所・違反1,608か所。比率は動いていません
観光署自身の検索サイト camp.tad.gov.tw は、メニューも検索も電子地図も適法なものしか収録していません。 行こうとしているキャンプ場がそこで出てこないとき、違反なのか、表記が違うのか、そもそも点検されていないのかが分かりません。 このツールを作った理由がそこです。2つの名簿を同じ検索窓に入れて、「見つからない」を意味のある答えにするためです。

データ自身の問題も、隠さず表示する
「関係法令に違反」の欄は各県市の職員が手で書いていて、62通りの書き方があります。同じ法律の書き方違い、複数をまとめ書き、 全角と半角の混在、さらには「キャンプ区域が建築行為を伴わなければ違反しない」といった条件文まで。推測はせず、2つのことだけをしました。
- キーワードで法令を10種に分類(区域計画法、土地利用規制、農業発展条例、未登録、都市計画法、建築法、森林法、水土保持法、国家公園法、要調査)。 原文は必ずそのまま併記します。分類の結果、区域計画法787か所、土地利用規制435か所、農業発展条例229か所で、 この3つだけで7割を超え、いずれも「この土地をこう使ってはいけない」という話です。
- データが自己矛盾している箇所は、どちらかを選ばずに矛盾として表示する。違反と記されているのに条文が空欄なのが58か所—— ページには「違反と記されているが、どの条文かは書かれていない」と表示。適合と記されながら法令名も入っているのが24か所—— 適合として表示したうえで「記載が矛盾」と注記。条件文が8か所、要調査が8か所、それぞれ注記します。
ほかに住所のないものが246か所、座標のないものが68か所。公式の座標そのものは正確で、 OpenStreetMapのキャンプ場中心と81か所を比べた中央値の差は58メートルでした。ただしデータにあるのは点だけで、 範囲も面積も地番もありません。だから地図には点だけを描き、円は描きません。面積データがないのに固定半径の円を描けば、それは数字の捏造です。
答えは3種類
検索が返すのは3つだけです。関係法令に適合、関係法令に違反(条文の原文つき)、このデータには載っていない。 3つ目はわざわざ専用の区画にしました。いちばん見落とされやすく、そして「なぜ公式サイトで出てこないのか」に答えられる唯一のものだからです。
検索自体も少し寛容にしてあります。「台」と「臺」は相互に通じ、「露營區」「農場」といった語尾を落としてから照合し、 打ち間違いは類似度で拾い、郷鎮名や住所でも引けます。ある農場の名前を打ち間違えても見つかりますし、 「スマングス」では2か所出てきます。
あるウェブ記事のおかげで自分の一文を直した
公開初日、利用者から不動産サイトのまとめ記事が送られてきて、「よく書けているので補足に使えるが、出典は確認したほうがいい」と。 一次資料と1つずつ突き合わせた結果:
- 排水の新制度が「2024年7月1日施行」とある。環境部の改正公告は2024年1月16日で、事業者に猶予が必要だったため実際の施行は2025年3月1日。
- 「100か所以上が環境敏感区域にある」とある。それは2022年の点検で、観光署の現在の公告ページ(毎月1日と16日更新)では20か所。
- 区域計画法「第15条」で6万〜30万元の過料、とある。禁止規定が第15条で、罰則は第21条。
- 「観光局の検索コーナーには適法・違法どちらのキャンプ場の検索システムもある」とある。これは正しく、 おかげで自分の間違いに気づきました。
観光署の主たる検索サイトが適法なものしか載せていないのは事実ですが、「関係法令に違反するキャンプ場データ」のページは 実は存在します(camp.tad.gov.tw/CMZ/illegal.jsp、1,546か所、リアルタイム)。ただ主メニューからリンクされておらず、 行政情報サイトの「各キャンプ場所管機関点検情報プラットフォーム」からしか辿れず、しかも名称・県市・郷鎮・法令の4列だけで、 住所も地図もありません。私のページには「公式は適法なものしか載せておらず、サイト全体に『違反』の二文字がない」と書いていました。 それは誤りで、その日のうちに「公式は両者を別々に検索、本サイトはひとつの検索窓にまとめている」と書き直しました。
ついでに、オープンデータのCSVと観光署のリアルタイムサイトで数字が合わないことも分かりました。 CSVは適法203/違反1,604、リアルタイム版は220/1,546。差は時点の違いで、CSVは四半期に一度しか出ません。 これもデータのページに書きました。ある1か所の現時点の状態を調べるなら、観光署のサイトが基準です。
結局その記事へのリンクは張りませんでした。3か所が原文と合わないからです。ただ感謝はしています。 あの記事のおかげで「法令と罰則」のページが生まれました。そこには『キャンプ場管理要点』2025年版の要点 (許容される用地、1ヘクタール以下の農牧林業用地では10%かつ660平方メートルまで、登録書類、開示義務、最低保険)と、 主要4法の罰則を整理し、それぞれに法務部の全国法規データベースへのリンクを付けています。 原文で確認できないものは書きません。
あえてやらなかったこと
- 「違法」「悪質」とは書かない。政府の原文どおり「関係法令に違反」だけを使う。
- 「区域計画法に違反」から「安全でない」へ飛ばない。土地利用の問題と安全は別の話です。
- 電話番号、ウェブサイト、予約リンクは載せない。これはキャンプ場ディレクトリではなく、どこにも送客しません。
- 1,807個の個別ページは作らない。1行の状態しか載っていないページは誰の役にも立ちません。
毎日未明にCSVを取りに行き、元ファイルの版が変わっていなければ何もしません。変わっていれば件数、県市数、 適合+違反=総数を確認し、通ってから反映します。ツールは lazetool.com/camp、 法令ページは 法令と罰則(いずれも中国語)。